皆さんこんにちは!
BUYCLUBブログの渋谷です。
今日解説するのは経済連携協定(EPA)。
2019年2月から発効され、当時は「EUからの関税がかからなくなる!」
って結構盛り上がりを見せたりもしたんですが、
「関税撤廃されたはずなのにEUから商品を輸入したら関税かかったんだけど!!」
みたいなご連絡も結構いただきます。
そこで今回はEPAについてまとめてみたいと思います。
まあ知らなくても特に問題ないと言えば問題ないのですが、輸入ビジネスをする上で、
知っておいて損な知識ではないので、是非一度目を通してください。
もしかするとこのEPAがライバルバイヤーと大きく差を開けることになるかもしれませんよ。
目次
BUYMA×EPAに関してまとめ
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そもそもEPAとはなんぞや!?って人の為に超簡単に解説すると、
前回の記事で解説した”関税”が、提携した国と国の間で、撤廃・削減される制度です。
これまでもシンガポールやマレーシア、チリ等々とも提携しているのですが、2019年2月にハイブランドアイテムでは必須のEU(ヨーロッパ)との間で発効されました。
しかもその削減品目に鞄や衣類が含まれていたのでバイヤー大歓喜だったわけです。
エニグモさん(BUYMAの会社)にとってもとんでも追い風で、EUから入ってくるEPAで激安になったワインに酔いしれたのは言うまでもありません。
では実際どれくらいの変化が起こったか見ていきましょう。
EU/EPA適用後の関税
品目はいろいろあるのですが、とりあえずアパレル商品に絞って紹介すると
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こんな感じです。
Tシャツ・ボトムス・スカートなんかは即時撤廃、バッグも年々少なくなり、最終的に撤廃。
あのクソ高かった革靴もなんと最終的には完全撤廃されます。
これまでかかっていたものがかからなくなるので、仕入れコストを大幅に下げることが可能になるわけです。
ただ…、このEPAを適用するにはいくつか条件があります。
EPAの適用条件
.EPAを適用するには主に以下の3点を満たす必要があります。
・原産国がEUである。
・原産国がEUである証明をする。
一つずつ見ていきましょう。
商品がEUから日本へ直送される。
商品はEUからの直送でなければなりません。
EU/EPAはあくまでEUとの輸入制度なので、EUから直接日本へ発送しなければなりません。
”イタリアで作られたTシャツをアメリカから輸入した。”
こんなのはEPA制度は適用されないってことです。
原産国がEUである。
次に原産国がEUである必要があります。
”アメリカで作られたTシャツをイタリアから輸入した。”
こんなのもEPA制度は適用されません。
原産国を証明する
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最後にこの原産国に関して、税関に証明しなければなりません。
これを証明するのは「原産品申告明細書」という書類が必要になるのですが、これが難しい…。
一度作成しようと試みたこともあるのですが、工場の情報やら、その各工場が材料を仕入れている仕入れ先国、その製品を生産する製造工程などなど、我々のような2次流通業者では入手不可能な情報を提出しなければならないなど、国内の並行輸入業者も断念するレベルの難易度です。
じゃあこのEPAを適用するのは無理じゃん…って考えたそこのあなた。大丈夫です。
輸入金額が20万円以下であればなんと証明不要になるのです。
インボイスにイタリア生産なら「made in Italia」と記入してもらうだけで、面倒な手続きを吹っ飛ばして自動的にEPAが適用されます。
無在庫で20万円以下の輸入を繰り返している我々には物凄く恩恵が大きいですね。
EPAとDDPに関して
最後にDDPについてよく質問をいただくので解説しておきます。
前回の記事でも書きましたが、簡単に説明するとDDPとは関税・消費税の”元払い”で、ショップ負担となっている発送方法です。
”EPAで関税が安くなる条件が整った時、DDP購入しても、関税安くなってんの??”って話です。
結論から申し上げますと、これはショップによります。
よりますが、残念ながら多くのショップで2020年現在は安くなっていません。
基本的にこの関税の計算はショップが導入しているシステムが勝手に計算しているので、
発効から1年以上経過していますが、現時点でも対応しているショップは少ないです。
ですので、もしDDPかDDUか選択可能であればDDUを選択し、関税受け取り時払いにした方がいいでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
20万円以下の小口輸入であれば、大きく仕入高を抑えられるEPA。
しかし、ショップが原産国をインボイスに書いていない可能性や、
また、ショップに「made in EU」と記載があっても生地がアジアで適用されず…。みたいなこともあり、
その他さまざまな人為的なミスなどから100%安心適用されるのを待っていいのかと聞かれると全くそうではありません。
尚、一度EPAが適用されずに通関してしまうと返金されることはほぼ不可能です。
その為、このEPAに対する価格設定の考え方はかなり難しいのですが、
個人的にはEPAに頼りすぎる価格設定は危険と考え、試行回数を増やしながら、適用のパターンを掴み、
その上で、価格を決めて行けばいいのかなと思います。
また、原産国がEUであればショップにインボイスへ「made in EU」の記入をして貰うようにしっかり伝え、EPAの適用条件を満たしていきましょう。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
それでは次回もお楽しみに!
渋谷一慶